ありきたりな表現ですが、少子高齢化や人口の都市部集中によって、我が国の地方都市、特に交通インフラの整っていない地域の人口減少は顕著なものです。これまで住んでいた住居を引き継ぐ後継人がいないまま、放置されている民家の扱いが、近年では大きな問題になりつつあります。
日本の空き家と思われる民家数は?
空き家とは、「常時住んでいないが使っている」、「貸したいのに借り手がいない」、「売りたいのに買い手がいない」、または「その他の理由」に分けられます。
総務省では、5年おきに「住宅・土地統計調査」を行っていますが、ちょうど今年がその年となります。(公表は7月頃)
前回平成25年のデータでは、総住宅数の6063万戸のうち、13.5%が空き家であるとされています。空き家の推移をみると、昭和 38 年の 52 万戸から一貫して増加を続けており,平成 10 年には576 万戸と 500 万戸を超え、25 年では 820 万戸となっています。空き家はこれからますます増えていくものと思われます。
平成 20 年と比べると空き家は 63 万戸増加しており、建て方別にその内訳をみると、一戸建の空き家が 50 万戸で増加した空き家の 79.0%を占めているのです。
つまり、空き家のほとんどが、マンションなどの集合住宅ではなく、交通の便が悪いと思われる「少し不便な場所」であると推察されます。
また、空き家率をみると、関東大都市圏は 11.4%ですが、中京大都市圏は 12.7%と全国(13.5%)をそれぞれ 2.1 ポイント下回っていますが、近畿大都市圏は 13.8%と全国を 0.3 ポイント上回っていることから、東日本より西日本の方が空き家の発生状況が深刻であると言えます。
東京都内の空き家率
当然東京都もこの問題について検討しています。平成25年の東京都の空き家総数82万戸のうち、活用可能と想定される「腐朽・破損なし」の空き家数は65.6万戸とされており、活用可能な空き家は、賃貸用の住宅が多いと推計されています。また、「腐朽・破損あり」の空き家数は約16万戸であり、空き家総戸数の約2割を占めています。このうち、長期不在等のものは約4万戸とあるように、都内にもまだ利用可能な空き家が多数存在しているのです。(出所: 東京都都市整備局「空き家の現状と取組【資料集】」
空き家所有者の意向調査(全国)
空き家となった理由では、「親所有の住宅の相続」が44%と最も多くなっています。また、住宅の将来的な扱いとして、「売却及び賃貸するつもりがない」は約28%、「将来条件があえば売却又は賃貸しようと思っている」は約44%存在するなど、多くは売却や賃貸の意向は明確となっていません。((出典)平成25年 個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会/国土交通省資料)
また、「空き家の利用状況・所有者の意向(全国)」(平成25年住生活総合調査速報集計/国土交通省)では、以下の通り報告されています。
- 現住居以外に所有・賃貸している住宅がある世帯の22.9%は、その住宅を「空き家」にしている。
- 空き家の建築時期は、昭和55年以前の割合が全体の約2/3を占める。
- 空き家の今後の活用意向は「空き家のままにしておく」が、約半数。
- 空き家の管理については、ほとんど何もしていない所有者では、今後も「空家のままにしておく」が約6割。
日本の空き家問題では、今後も空き家が増加することが示唆されています。
空き家の利用方法はある?解体する?
今後も増加する傾向にある空き家ですが、人が住まなくなった住居は、メンテナンスされることもないため、比較的早く朽ちていきます。国では、この老朽化への対策が急務であると認識しており、「空家等対策の推進に関する特別措置法」が平成27年5月26日から全面施行となりました。「適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしており、地域住民の生命・身体・財産の保護、生活環境の保全、空家等の活用のため対応が必要(1条)」とあるように、その利活用について検討がされています。
活用方法として、奈良県五條市では町家を滞在体験施設へ転用しています。また、あまりにも老朽化している建物については、除去したのち、小さな公園として整備するなどの手法がとられています。
このように、全国各地にはずいぶん昔に建てられた民家が数多く残っていると考えられます。古民家を再利用しようと取り組んでいる団体として、「特定非営利活動法人 日本民家再生協会(認定NPO)」などがありますが、古民家再生にはお金もかかるものですので、気軽に取り組むことはできません。
とはいえ、個人的に古民家を所有してみたいので、どのような方法があるか、今後研究してみたいと思います。
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